会長挨拶
第32回日本急性血液浄化学会の開催にあたって
埼玉医科大学総合診療内科
中元秀友
今回、令和3年10月2日から3日の2日間、埼玉県さいたま市のラフレ埼玉において第32回日本急性血液浄化学会学術集会を開催させて頂く運びとになりました。大会のテーマは「緊急時に生きる急性血液浄化療法」としています。
令和元年12月に中国の武漢市から発症したとされるCOVID19の猛威は止まることもなく、令和3年に入っても世界中で猛威を奮っています。COVID19の影響で、昨年甲府で開催を予定されていた第31回日本急性血液浄化学会学術集会も中止せざるを得なかったこと、中止の大英断を下された大会長の志賀先生は本当に大変だったことと思います。本年10月予定の第32回日本急性血液浄化学会学術集会も開催できるのか、との危惧を現在も抱いておりますが、Webでの開催を含めて企画しています。開催形式については、今後のCOVID19の状況を見ながら随時報告させて頂きます。是非とも多くの先生方のご参加を期待しています。
日本急性血液浄化学会は、東京女子医科大学腎センターの故太田和夫先生と、千葉大学救急集中治療医学の平澤博之先生(現千葉大学名誉教授)のお二人が中心となり1990年の10月に設立された歴史ある学会です。その当時新たな治療法として注目されていた急性血液浄化法を広く普及・発展させる目的で急性血液浄化研究会として設立されました。2000年には日本急性血液浄化学会となり、2005年に特定非営利法人日本急性血液浄化学会となり一昨年には創立30周年を迎えました。このような歴史ある学会大会を主催できること、身に余る光栄と感じています。急性血液浄化療法は急性の腎障害や、重症患者の急性期治療・集中治療の中で施行されるすべての血液浄化療法を指しており、今回のCOVID19の治療においても重要な役割を果たしています。急性腎障害にとどまらず、敗血症(性ショック)、急性肝不全、薬物中毒、自己免疫疾患の急性増悪、代謝異常症などの疾患や病態が対象となります。また今回のCOVID19に対してPMXなどの治療方法が病態改善に有効であるとの報告も見られます。今回のCOVID19の流行下において、急性血液浄化療法の重要性は多くの人々に再認識されました。第32回日本急性血液浄化学会学術集会では、このような厳しい状況下の経験を踏まえ、今後に役に立つ議論を皆さんとして行きたいとの思いから「緊急時に生きる急性血液浄化療法」とさせて頂きました。
本学会は慢性の透析医療に関わる腎臓内科医、泌尿器科医、さらに集中治療や救急医療に携わる集中治療医、救急医が一同に集まる学会です。さらに透析医療や集中治療、さらに救急診療に携わる臨床工学技士、看護師、栄養士、薬剤師のメデイカルスタッフの皆さんが一同に集まって議論できる学会です。透析医療、集中治療はいずれもチーム医療が極めて重要であり、多くのメデイカルスタッフ間での議論ができる場にできればと考えています。多くのメデイカルスタッフの皆さんとお会いし、議論できることを楽しみにしています。多くの皆さんに学会に参加して頂き、そして参加して良かったと思って頂けるように、準備委員会が中心となり多くの企画を計画しております。
令和3年1月現在、緊急事態宣言下で先の見通せない状況です。しかし本年の2月下旬からはワクチンの接種も始まり、近いうちにCOVID19が必ず沈静化されることを信じています。本年10月にはさいたま市で皆さんとお会いできること、楽しみにしています。多くの皆さんの参加を宜しく御願いいたします。